麻疹(はしか)抗体の測定について書きます。
麻疹抗体の測定は採血をして、検査センターに送って検査します。検査には数日かかりますので、後日受診していただき結果説明いたします。
麻疹抗体の測定法は以下の6つの方法があります。
検査項目 |
検査判断料(円) |
申所要日数(日) |
EIA(酵素免疫測定法)IgM |
2300 |
2〜4 |
EIA(酵素免疫測定法)IgG |
2300 |
2〜4 |
HI(赤血球凝集抑制法) |
800 |
3〜5 |
NT(中和反応) |
800 |
7〜11 |
CF(補体結合反応) |
800 |
3〜5 |
PA(ゼラチン粒子凝集反応) |
1000 |
5〜7 |
(注:検査料は目安です。診察料などは別途です。免疫目的の場合は実費です。PA法は実費です。)
麻疹抗体を測定する場合として、現在、発熱・発疹で苦しんでいて、麻疹かどうかを診断するときに測定する場合と、麻疹に免疫があるか
どうか知りたい場合に測定する場合の2通りがあります。前者はまれなケースであり、今回は後者について考えてみたいと思います。
CF法は安価で検査も早いのですが、感度が悪く、たちあがりも遅いため麻疹には用いられなくなりました。免疫をもっているかどうかは、
EIA IgG, HI, NT, PAのどれかを用います。感度はEIA IgG .> PA > NT >
HIの順でEIA IgGが最も優れています。しかし、PA法もEIA IgGとほぼ同等の感度といわれ、安価で最近の疫学データも多く存在する為、当院ではPA法すすめています。NTは検査の労力と時間の点で、またHIは感度の点であまり使用する必要はないものと考えています1)。EIAIgG 6未満、PAで64未満、NTで4未満の場合、麻疹ワクチンの接種がすすめられます。
最近、就職や大学入学時に麻疹抗体検査が義務化される場合もあり、当院を受診される方も増えておられますが、正しい知識を持って検査をされたほうがよいものと考えここにまとめてみました。
又、麻疹ワクチンを接種するにあたり、抗体を測定することは必須ではありません。つまり、麻疹抗体陽性のひとに麻疹ワクチンを接種したからといって副作用が強く出るなどということはないといわれております。
ちなみに、水痘、おたふくかぜの抗体測定もEIA IgGでの測定が推奨されており、風疹はEIA
IgGでもHIでもどちらでも良いことになっております。
現在、平成20年4月より5ヵ年間の経過措置で、中学1年(3期)、高校3年(4期)を対象として麻疹・風疹ワクチン接種を実施しております。
必ず接種し、免疫強化をしておいてください。
平成21年6月15日
参考文献
1)医療機関での麻疹対応ガイドライン(第二版)
国立感染症研究所感染症情報センター麻疹対策チーム平成20年1月23日:53−63.